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CSR-NPO未来交流会
講演2 マッチング事例(行政・市民・学校・研究者)

南房総館山・沖ノ島の自然環境保全と活用の仕組みづくり
海辺のエコツーリズムを目指して

NPO法人 たてやま・海辺の鑑定団
http://www.umikan.jp/
理事長 竹内 聖一

南房総館山の自然

自分たちの日常の活動を通して行政との連携について話をさせてもらいます。私自身は館山に移住して活動をしています。
たてやま・海辺の鑑定団は平成16年4月設立されたNPO法人です。南房総の自然資源を活用し、年間を通じて海辺の自然体験の機会を提供しています。身近な自然を感じることで環境や生態系を自ら考える人を育てることを基本方針に、館山市沖ノ島を中心に地域連携による体験学習や一般を対象とした「自然体験プログラム」に取り組んでいます。
また、環境保全活動を実践し、自然環境の保全と活用の仕組みである「エコツーリズム」の実現を目指しています。
南房総の位置は、首都圏から近くて、温暖な気候で食も豊かで自然に恵まれています。そんな地域の様子を写真で簡単にご紹介します。

豊かな沖ノ島

課題の所在

沖ノ島を活動の拠点にしていますが、館山市の公園になります。またサンゴの北限域です。館山湾の南側に位置する周囲1kmの陸続きの無人島。身近に豊かな自然・歴史を育んでいます。

特徴をあげますと、
・東京から程近い館山湾の南側に位置する千葉県館山市の沖ノ島
・暖かい黒潮の影響を強く受けてサンゴ生息の北限域
・海藻や海草(アマモ)によって形成される藻場を有し、
多くの生き物の産卵・成育の場
・周囲1キロ程度の海辺にも多様な生き物が生息しています
・島内には海浜植物と照葉樹林
・島全体が豊かな生態系
・沖ノ島は、将来にわたり「守り」「伝える」べき地域の宝です。

さらに、海の生き物をご紹介します。東京湾のサンゴも生きています。
ヤドカリ、イソギンチャクやシロウミウシ、イボサンゴなど様々な生きものがいます。

エコツーリズムの実践

シーカヤック航行ガイド・具体的な取組

資源を活かした活動(自然体験プログラム)があります。 以下代表的なプログラムをご紹介します。
・沖ノ島無人島探検
沖ノ島を巡るエコツアー通年を通して定期に開催
・サンゴに出会えるスノーケリング体験
沖ノ島の海の中を観察するエコツアー。7-8月夏季を中心に開催 (700人)
・釣り体験・食体験
海辺を活かすプログラムとして、釣った魚を食べる活動を企画

主に子どもたちを中心にして親子で学習することもできる内容で、身近な自然を大切に感じることが出来るプログラムです。そして多くの学校教育関係の団体の受け入れも行いっています。さらに近年は、旅行会社のJTBが地域と連携したCSR活動実施の「JTB地球いきいきプロジェクト」、館山・無人島『沖ノ島』で海岸清掃と自然を五感で"体験"!!などもお手伝いしています。以下のサイトをご参照ください。※2016年10月16日(日)実施
http://www.jtbcorp.jp/jp/csr/clean/2015/report2016/report_24.asp
また、環境保全の研究・啓発・実践を目的として、海岸ゴミ調査、JEANクリーンアップ全国事務局やパルシステムと連携して地域連携による海岸清掃などを実施しています。

沖ノ島の課題

現在、特に夏には多くの方が訪れるようになり、逆に問題が起こってきています。地域連携組織の「沖ノ島をについて考える検討会議」(平成25年4月発足~現在)に参加して、課題の解決に向けた取り組みを始めています。沖ノ島独自のルールやアマモ場の消失の課題など館山市と連携しながら関係者が集まり検討・実践しています。
「沖ノ島について考える検討会議」では、館山市・NPO・漁業協同組合・ダイビングショップ・近隣民宿・海の家・ライフセーバー・海水浴監視船・観光協会などの関係者が集い、様々な視点から沖ノ島の諸課題解決に向けて取り組んでいます。その経過を簡単に述べます。

沖ノ島周辺の現状と課題

  • 近年では「歩いて渡れる無人島」として注目され、地域外からも多くの人が訪れる人気フィールド。(夏季だけで平成28年度28,338人 駐車台数18,779台)
  • 入込が集中する夏季には、トイレ・駐車場の不足、ごみの放置、海洋生物への悪影響などの問題が発生。
  • お盆などの入込集中期間には沖ノ島周辺に駐車しきれない車両の路上駐車などが発生し、地域の課題と。
  • 館山市ではマナー条例を制定し夏季の海水浴場で発生する問題の改善に取り組んでいるが、沖ノ島の貴重な自然環境を守るため、新たな規則制定の必要性。
  • 国立公園におけるビジターセンターのような自然環境保全の為の普及啓発施設がないことも、問題の一要因。
  • 平成25年頃より台風等による波浪の影響と思われるアマモ場の減少傾向が明らかになり、生物多様性や水産資源への影響が懸念。

課題解決の取り組み

「沖ノ島について考える検討会議」では「平成25年から取り組み始めて、基本的なルールやマナーから沖ノ島の環境に至る対策を順次行っています。具体的には、下記の取り組みを実施しています。

  • ルールとマナーの徹底について
  • 警備員配置、駐車区画の実施
  • 警備員の増員・循環式トイレ(バイオトイレ)の設置(平成26年)
  • 警備員をさらに増員。マナーパンフレットの作成・配布による啓発。
    NPOによるビジターハウス(沖ノ島案内所)の設置
  • 南房総館山沖ノ島の海辺を「守り」「伝える」ための仕組みづくり(沖ノ島について考える検討会議の継続)による環境保全・再生の普及啓発活動(ビジターハウス)と実践活動(アマモ場再生)
  • 啓発リーフレットを追加発行(30,000部)
  • 市道246号線を沖ノ島への進入路まで延長
    (平成28年6月市道認定議決、平成28年度中の共用開始を予定)
  • アマモ場再生の実践活動を開始。アマモ場減少の原因究明行動をスタート。
    (定点観測・空撮・過去データの調査)
  • ビジターハウスの継続設置。ミニエコツアーの実施

以上、今後も継続した取組を実施していきます。